ドリフト界のカリスマ的存在としてその名を知られるケン・ブロックが、オーストリアで行われたGPアイスレースに登場。2022年のダカールラリーに参戦したハイブリッドマシン『アウディRS Q e-tron』のステアリングを握り、雪と氷に覆われたコースでテストドライブを実施した。
アウディRS Q e-tronは、2020年までアウディRS5 DTMに使用されていた2.0リットル直列4気筒ターボエンジンとフォーミュラEのために開発された電気モーター『MGU05』、そしてバッテリーを備えたシリーズハイブリッド式の電動プロトタイプカーだ。
2022年1月に開催されたダカールラリーに初参戦したこのマシンは、マティアス・エクストローム、カルロス・サインツ、ステファン・ペテランセルという3名に託され、2度のワン・ツー・フィニッシュを含む計4回のステージウインを果たすなど参戦初年度からポテンシャルの高さを示した。
そんなアウディRS Q e-tronの1台、エクストロームの224号車がザルツブルク州ツェル・アム・ゼーで開催されたイベントに姿を見せ、そのコクピットにブロックが収まった。また、彼の隣にはエクストロームがインストラクターとしてコドライバーシートに座っている。
なお、アウディは同イベントにRS Q e-tronだけでなく1983年のラリー・フィンランドに参戦したアウディ・クワトロA2グループBを持ち込んだ。その他、会場にはDKW F91やDKWハルトマン・フォーミュラVの姿もあり、これらの車両の登場は大きな話題を呼んだ。
雪上での電動プロトタイプカーのドライブを終えたブロックは、「アウディRS Q e-tronでのラップは驚異的な体験だった」とコメントした。
「おそらく雪や氷の上よりも砂漠の方が快適に感じるのだろう。このクルマの特別な機能をすべて辛抱強く説明してくれたマティアス・エクストロームに感謝している」
「アウディRS Q e-tronの魅力を理解するには、ハンドルを握ってから数分もあれば充分だったよ」
一方、ダカールラリーでは陣営最上位となる総合9位となり今回はインストラクターを務めたエクストロームは、ブロックのドライビングに感銘を受けたという。
「ケン(・ブロック)が完全にスピードに乗るまでに要したのは、たった3ターンだった」と彼は語った。
ブロックはこの他、アウディ・クワトロA2にも乗り込みサーキットでドリフトを披露した。10代の頃にアウディのラリーカーに魅せられたアメリカ人にとって、この体験は個人的なハイライトになった。彼は「急いで忘れることができない狂気のような瞬間」と表現している。
なお既報のとおり、アウディはブロックのためにアウディスポーツ・クワトロS1からインスピレーションを受けたワンオフモデル『アウディS1 e-tronクワトロ・フーニトロン』を開発しており、この電動モデルを使った『ジムカーナ』シリーズの最新作が、数カ月以内に新章『エレクトリカーナ』として公開される予定だ。